勝手に僻地散歩



青森県三戸郡新郷村 キリストの墓にいってみた その5

聖書におけるイエスの記述は当然のことながら詳細であるが、一つとして誰によって書かれたかについてを確定的に指し示す証拠が残っていない。弟子が書いたという説は現在では主流ではないらしい。それでは一体誰が聖書を書いたのか。分かる範囲で聖書の著者の人物像に迫ってみたい。

すでに述べたように新約聖書は著書も成立時期も異なる27の文書から構成されている。誰々による福音書、パウロ書簡など、弟子が著者であるかのよう思わせる文書もあるが、弟子が書いたものでないと言う学説が主流を占めている。マタイ、ルカの福音書にマルコの福音書からの文言が多く引かれていることから、成立時期はマルコが一番早くAD70年前後ではないかと伝えられている。ちなみにマタイ、ルカにはマルコとは別のもう一つの共通資料(イエスの発言録的な資料)の存在があったとの説が有力である。ヨハネの福音書は最も新しく、3つの福音書とは記述が形式、文体ともに異なっており、別の成立過程を経たものと考えられる。

新約聖書はギリシャ語で記述されている。キリストが話していたとされるアラム語でもヘブライ語でもない理由は想像しかできない。しかも新約聖書は、教養人が用いる古典ギリシャ語(アチケー)ではなく、1世紀のローマ帝国内で用いられたコイネーと呼ばれる口語的なギリシャ語で書かれている。しかも全編を通じて、新約聖書のギリシャ語は洗練されていないと評されている。特にマルコによる福音書とヨハネ黙示録のギリシャ語は拙いらしい。ルカ、ヨハネの福音書、使徒言行録は同一筆者と見られ、用いられているギリシャ語の水準はマルコ、ヨハネより高い。

さて4福音書の特徴は以下の通りである。

マルコ:パレスチナ地方(ガリラヤ)の地理、ユダヤ人の習慣に疎く、誤りが散見される。ギリシア語が拙い。ラテン語的表現が見られる。ラテン語を母語とし、パレスチナに土地勘のない人物によって書かれたと思われる。

マタイ:旧約からの引用が多く見られることから、旧約聖書、ユダヤ教に詳しいが、反ユダヤ的色彩が見える。イスラエル王の末裔としてイエスを位置づけていること、文体などから、ユダヤ人キリスト教徒とまでは言える。

ルカ :パウロに同行した医師ルカではなく、使徒言行録と形式が似ており、同一著者が疑われる。ユダヤ教に詳しいキリスト教徒。イエスを見たことがないと記述している。ギリシャ語の水準は4福音書の中で最も高く、ヘレニズム世界で正規教育を受けた人物である可能性が高い。パレスチナの地理に疎く、ガリラヤ海を湖と変更するなど、パレスチナ以外の場所に住む人物と考えられる。

ヨハネ:ユダヤの地誌に詳しい。それ以上は分からない。著者は不明。

パウロ書簡、公同書簡など新約聖書を構成する文書は他にもあるが、真筆性が高いとされているパウロ書簡の一部を覗いては、新約聖書はどこの誰が書いたのか分からないというのが実態であった。

ただし残る写本はイエスの時代と一世代くらいしか離れておらず、また後世に伝わる他の写本とも合致する点が多いことから、内容については比較的原典に近いものが現代にまで伝わっていると推測ができる。 
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by iyasaca | 2011-12-03 00:37 | 青森
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