
今回の目的地は、奥那須の秘湯、北温泉である。
北温泉は、かつては岐多、喜多とも表記されていたこともあったが、明治に入って「北」に統一されたようである。

宿までは車で到達することはできない。旅館から約400メートルほどの場所にある駐車場からは、遊歩道を歩かなければならない。


緩やかな坂道をしばらく下るとまず目につくのは谷間から顔を出す赤茶色のコンクリート壁である。防砂ダムと思われるコンクリート構造物の周辺に、黒い屋根の旅館の建物が見えてくる。一番古い建物は江戸時代の建造で、その後明治、昭和と新たな棟が建てられている。

宿の脇には余笹川が流れている。

坂を下りきると宿の全景が見える。右手には15m×10mの大露天風呂が目に飛び込んでくる。水着着用可能の混浴風呂である。湯温は低く、温泉というより温水プールである。人影はない。いよいよ旅館の入口に到達する。