勝手に僻地散歩



六ヶ所村にいってみた その5 - 再生可能エネルギーの可能性

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<写真:在りし日の福島第一原子力発電所>
ポスト3・11の日本では、原発の新設は困難であろう。定期点検中の原発の運転再開は、法手続き上、地元の同意は必要とされていないが、実際問題として運転再開を強行することは難しいだろう。2011年5月10日の菅直人総理の記者会見における「(2030年までに原発を14基増設し、総電力の5割を目指す)エネルギー基本計画を白紙に戻して議論する」という発言は、その認識に基づくものだと思われる。

その場合、原子力以外の手段で電力を確保しなければならないが、再生可能エネルギーはどれも一長一短あり、単一の発電方法で原子力に代替することはできない。

脱原子力を進める場合、どれほどの電力量が必要で、どのような発電方法の選択肢があるのか。

日本の原子力発電54基の発電量は4,885万キロワット。しかし震災発生時には19基(1,670万kWh分)が定期点検・復旧作業で休停止中だった。地震前まではこの発電量で供給に心配がなかったわけだから、設備利用率を6割と考えると2,000万kWあれば、夏のピーク需要にも対応できるはずである。

しかし3月11日に稼働中だった35基(3,214万kWh分)のうち、15基が被災、停止している。さらに、これから夏までに定期検査に入る原子炉が6基ある。仮に停止中の原子炉が定期検査後、速やかに運転再開ができたとしても、稼働できるのは最大で33基。全て運転再開ができない最悪のシナリオは、稼働原子炉14基のケースである。この場合、発電量は8割減となる。この穴を再生可能エネルギーでどの程度埋めることができるか、簡単に再生可能エネルギーの現状と課題をまとめてみる。

1)太陽光
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<写真:Nellis Solar Power Plant, Nevada USA, US Airforce Photo, Public Domain>
 概要
 累積導入量214.42万キロワット(2008年、エネルギー白書2010)。世界3位。
 発電量(設備利用率から算出?)
 メリット
 住宅・非住宅ともに潜在的な導入量が大きく、産業の裾野も広い
 日本企業が先端技術を持っている
 デメリット
 発電コストが突出して高い。原子力の10倍、風力の4倍である。
 天候に左右され、安定供給が困難(設備利用率は12パーセント)
 夜間も発電できない
 広い用地が必要。
 (原子力を太陽光で完全代替すると、2900万平方米の土地と190兆円が必要)

2)風力発電
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<写真:Lillgrund Wind Farm's、Sweden, Wikipedia>
 概要
 設備容量 185.4万kW NEDO技術開発機構ホームページ(2008)、世界13位
 発電電力量(算出するしかなし?)
 国内最大手はユーラスエナジージャパンホールディングス(非上場)
 メリット
 発電コストが他の再生可能エネルギーと比べると安価
 地震に強い
 デメリット
 安定供給が困難(設備利用率は2割程度)
 自然景観の破壊(要するに見苦しい)
 低周波騒音による被害
 バードストライク(鳥が風車に当たって死ぬ)
 広い用地が必要
 100万kW(原発一基分)発電するには山手線内側の3.5倍の土地が必要)
  落雷に弱い(対雷強度250kAの保護技術は開発済)
  大型風車は3,000-5,000kWクラス

3)地熱発電
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<写真:The Nesjavellir Geothermal Power Plant、Iceland, Wikipedia>
 概要
 設備容量は53.2万kW (日本の発電量の0.2パーセント)
 発電電力量は27.5億kWh(風力、太陽光を上回る)
 日本の潜在的地熱資源量は2,054万キロワット
 全国18ヶ所、21の地熱発電ユニットが稼働。最後に作られたのは1999年
 新規着工に向けて調査が行われている。
 有望とされる31地点では発電コスト9~22円で合計95万kWが見込める
 (2002年新エネルギー産業技術総合開発機構による地熱開発促進調査)
 31地点中、特に条件のいい16地点で合計62万kW、1kWh辺り14.5-16.3円
 (日本地熱開発企業協議会)
 全国地熱ポテンシャルマップ策定(産業技術総合研究所、2009年3月)
 (全国各地の地熱資源量を解析推定、地理情報システム(GIS)上で参照できる) 
 メリット
 安定供給が可能。設備利用率7割
 デメリット
 開発コストが高い(調査・掘削・発電所建設・稼働まで10-15年かかる)
 2000メートルの試験ボーリングで一回あたり5億円。
 補助金は建設費の2割が上限。
 全量買い取り制度の対象でもない。
 1995年の電力自由化後は送電線敷設のコストが発電事業者の負担となった。
 (送電線の敷設コストは1キロ、1億~1.5億円、以前は電力会社負担)
 開発有望地の8割が国立公園内にあり、容易に開発できない(自然公園法、温泉法)
 開発しようとする場合、環境省の許可、環境アセスまで実施しないといけない。
 温泉が枯渇するかもしれないという危惧から周辺住民が反対
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by iyasaca | 2011-05-28 22:42 | 青森
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