勝手に僻地散歩



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丙申

謹賀新年。

本年の干支は、丙申(へい・しん、ひのえ・さる)である。

丙は五行では火の性格、方角では南、季節は夏にあたる。

丙を分解すれば「一」、「冂」、「入」となり、「一」は陽気が一段と伸びる様子、「冂(けい)」は左右に張り広げられた囲いを表し、陽気や活動力がすすんで発展することを意味する。「入」は内、つまり陽気が囲いの中に入るという意味となる。

また紀元100年、後漢の時代を生きた儒学者、許慎の手による部首別漢字辞典である「説文解字(せつもんかいじ)」によれば
「丙は南方に位し、万物成りて炳然たり。陰気初めて起こり陽気まさに欠けんとす」
とある。

ここにある火偏に丙、炳(あきらか)という字には、「陽気が一段と発展し、強い」という意味がある。つまり丙(ひのえ)は、陽気や活動力が一段と伸びるが、同時に陽気が囲いの中に入っていく、つまり陰りが見え始めることを表しているのである。

いっぽう申(さる)は、十二支の第九位、方角では西南西、時刻では午後四時にあたる。肋骨にまっすぐ背骨が走る様子の象形であり、「伸」という字にある通り、伸びるという意味がある。また「電」という字に見られる通り、転じて稲妻の光が走る様子を表している。

つまり丙申(ひのえ・さる)とは、新旧、善悪の勢力が一昨年、昨年に増し、いっそう強くなるが、あらゆる盛んなものの内には必ず衰えの兆しを含むという理にある通り、慎みを知り、有頂天となることを諫めるべき年なのである。

前回の丙申は、1956年。国内的には、戦争直後の混乱と朝鮮戦争を主因とする旺盛な消費・投資需要が一段落し、7月に発表された経済企画庁の年次経済報告の結語にあった「もはや『戦後』ではない 」との文言が流行語となった。また10月には鳩山一郎首相がソ連を訪問、日ソ共同宣言を締結し、国交が回復し、年末にはソ連の拒否権発動の立場からの方針転換に伴い、日本が国際連合加盟を果たした年である。

また国際的には年初にフルシチョフ第一書記によるスターリンの個人崇拝、独裁政治の批判と粛清の事実が明らかとなり(いわゆるスターリン批判)、米ソの雪解けムードが醸成されつつあったが、10月のハンガリー動乱におけるソ連軍による激しい民衆運動の弾圧など、後の激しい冷戦の萌芽も見えつつある時期であった。

さて翻って昨今の日本と日本を取り巻く状況はどうであろうか。未だデフレ脱却は成し遂げられないが、株価は4年連続で上昇し、賃金も上昇の兆しが見え始めてきた。稚拙な担当大臣の答弁や、自ら選び国会に招請した専門家に片っ端から違憲宣告されるという失態にもかかわらず、成立させた安全保障関連法案や未だ全貌が明らかにならないものの大筋合意したと伝えられているTPP、そして年の瀬も押し迫った段になって急転直下、韓国との合意にもちこんだ慰安婦問題の妥結などはいずれも変転する外部環境、とりわけ中国に対する強い警戒感への対応と見て取れる。

旧年中の動きを見るに安倍晋三総理大臣と官邸チームは、総じて効果的に施策を打ち出していると言えよう。次に見据えるのはロシアと北方領土の問題解決の道筋をつけることと橋下徹率いる大阪維新との共闘による憲法改正だろう。干支が指し示す通り、ますます陽気盛んに実績を積み重ねる安倍政権に終末の空気が流れ始める年となるのか。まだまだ陽気が前面に押し出される一年となるのか。慎みを知り、有頂天となるを自ら戒めることができるのかどうかにかかっている。

本年も皆様にとってよりよい一年となりますよう。
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by iyasaca | 2016-01-01 00:00 | 新年のご挨拶 | Comments(0)

乙未

謹賀新年。

本年の干支は乙未(きつ・び)である。

乙は、説文解字に「春に草木、冤曲して出ずるも、陰気なお強く、その出ずること乙乙(いついつ)たるを象る」とある。つまり固い殻を破って芽が頭だけ少し出た昨年の状態(甲)から、さらに伸びようとする草木の芽が、外の障害に遭って、曲がりくねった状態(乙)へと遷移するということである。

未は羊(ひつじ)と解されているが、十二支の動物名は漢代につけられたものであり、本来、未と羊は無関係である。元々の字義は木の上の方に繁茂する枝や葉を表している。このことは未という字を「木」と「一」に分解してみるとよく分かる。要するに木の上部にある横棒(一)、つまり枝葉である。枝葉は生い茂ると足元が暗くなる。それがゆえに未は「くらい」とも読む。

したがって乙未とは、ようやく進取の精神が芽吹き出し、前進を図ろうとするが、阻害する要因や雑音が多く、そのままでは真っ直ぐに進むことができない状態のことと捉えられる。新しい息吹を殺さぬためには、暗い足元を明るくし、風通しを良くする必要がある。つまり茂った枝や葉を払い落とすという作業が重要となる年ということである。うまく障害を払い、足元を明るくすることができれば、さらなる発展を期待することができる。逆にそれができなければ、根元が右に左に曲がりくねったまま前に進まなければならない事態に陥るとも解釈できる。

暦を遡る。

前回の乙未は1955年である。この年、自由党と民主党という2つの保守勢力が合従し、自由民主党を結党している。同様に革新勢力も左派社会党と右派社会党が統一を果たした。戦争の記憶が未だ生々しく残っていたこの時期、小異を捨て、大同団結することで、日本政治は新たな均衡を見出し、国家をさらなる発展へと導いたのである。

さて昨年12月の総選挙で安倍政権は現有勢力を維持することに成功した。これから取り組むであろう安保法制の整備や憲法改正などは、戦後体制からの脱却の第一歩である。また退路を断った消費増税の日までにデフレ脱却を成し遂げなければならない。残る第三の矢の肝である規制緩和をどこまで断行できるかにかかっているといえよう。

さらには民主党や維新の会などの野党の動きも注目である。民主党は上の方に古い枝や葉が未だに生い茂っていて、下の世代に陽があたらない。過去に何度も執行部に名を連ねたような古い枝と葉を刈り取ることができるだろうか。維新の会にあっては、賞味期限が切れかかっている大阪市長が、古き枝や葉である大阪府と市を解体し、大阪「都」構想を成就できるかどうかが刮目すべきところである。与党も野党も足元を新たにしなければ、そのまま壊死してしまいかねない。このまま繁茂する枝や葉を刈り取らずに右へ左へと蛇行するのか、周囲の雑音、障害に屈せずにこれからの前進の基礎を固めることができるのか、与野党ともに正念場である。

私個人の話をすれば、昨年は本ブログの更新が7月以降、5ヶ月以上途絶した。ひとえに気力の問題である。何を整理せねばならないのか、よく見えていないが、次のステップに向けて、改めて基礎を固める要があることは確かである。

皆様にとってよい一年となりますことを。
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by iyasaca | 2015-01-01 00:00 | 新年のご挨拶 | Comments(0)

甲午

本年の干支は甲午(きのえ・うま)である。

甲とは、草木の芽が、冬の間かぶっていた固い殻を破って頭を少し出した様子を表した象形文字である。転じて、「はじめ」、「はじまる」との意味がある。ただし新しいものの中には、あっという間に、その新鮮さを失い、堕落し、勢いを失ってしまうものもある。このことから、甲は狎(な)れにも通ずる。新しいものが定着するに値するものであるか、その萌芽をよくよく見極めなければならないということである。

午とは、上の字画は地表、下の字画にある十は、下から陰が陽を押しのけて上に上昇する象形である。説文解字に「午は忤なり」とある通り、反対勢力の突き上げを示していることから、転じて「そむく」、「さからう」との意もある。また午には「たづな」に結び、馬を御する索(つな)の意があるとの解説もある。

従って甲午とは、旧くからのシステム、考え方とは異なる新たな勢力が革新の動きを始め、体制の突き上げを図る年である。新たな動きは、旧体制を破りかねないものであり、その是非をめぐって大いに紛糾するため、指導者が、暴れ馬を御するがごとく、大いに手腕を振るうべき時とも読める。

この前の甲午は1954年である。この年は公職追放を解かれて政界復帰した鳩山一郎が、吉田茂率いる自由党内の不満分子や野党勢力を糾合し、日本民主党を結成した年である。また1953年の選挙で199議席(466議席中)を獲得し第一党となった吉田茂率いる自由党は、内紛により吉田が総裁職を緒方に禅譲、この動きが翌年の保守合同へつながっていった年であった。まさに吉田体制を破り、新しい55年体制へ向かう端境期であったのである。

さて翻って現在の状況を見てみれば、日本を取り巻く情勢は、おそらく戦後最も緊迫したフェーズに入ったと言えるだろう。中国は勢力圏の拡大を企図した境界での動きを継続し、韓国も伝統的にそうであったように、周辺情勢に引きずられるような動きを見せるであろう。そのような中で日本の国内世論に大きな変化が起きている。

戦後一貫して大手マスコミが寄り添ってきた戦後民主主義的な論調とネットが増幅する国民感情の乖離にその萌芽が見える。この状況に二分された両勢力は、仲間を国内だけにとどまらず、海外にも求めていくであろう。自らの意見の正当性を訴えるに、アメリカはこう言っている、中国、韓国もこう言っているという形での意見の応酬がより一層顕著になることだろう。

旧体制を破る革新の歩が定着するのか、そうでないのか、その動きを暴力を介さずに進めることができるのかどうか、指導者たちの手綱さばきにかかっている。皆様にとって良いお年となりますように。
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by iyasaca | 2014-01-03 13:25 | 新年のご挨拶 | Comments(0)

辛卯

今年の干支は辛卯(かのと・う)である。

「辛」は今まで抑圧されていたエネルギーが、様々な矛盾、や圧力を排除し、上に発現する様子、新しい世代が生まれようとする産みの苦しみという状態であるという。

「卯」は「茂る」という意味で、草木が地面を覆う状態を表している。

前回の辛卯は1951年。前年に朝鮮戦争が勃発し、世界は東西冷戦構造へと移行し始めた年であり、日本はGHQの占領を脱し、米国と安全保障条約を締結し、経済復興に向けての第一歩を踏み出した年であった。

その前は1891年で、前年に設立され帝国議会が春先に全焼し、年末には衆議院が憲政史上初の解散を打った年である。1917年まで継続することになる露仏協商が締結されたのもこの年である。

矛盾と抑圧されたエネルギーが地中から噴出し、芽吹いた草木が地面を覆い始めるという辛卯。抑圧されたエネルギーや矛盾はあちこちにある。果たして草木が地面を覆うことになるのだろうか。

本年が皆様にとって、新しい時代の薫りを少しずつ感じることのできる、未来に希望を見出すことのできるような一年となることをお祈り申し上げます。

ところで今気づきましたが、このエントリーは5カ月ぶり。放置しているにもかかわらず、訪れる人がいるのにはただただ感謝します。
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by iyasaca | 2011-01-08 17:12 | 新年のご挨拶 | Comments(0)


知ることで景色が変わる。誰にも頼まれてないですが、あちこちにいってきます。
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