勝手に僻地散歩



屋久島にいってみた その5

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鬱蒼とした林の中、トロッコ道は続いている。
左手には安房川が流れているはずだが、水の音はもう聞こえない。右手に目を向ければ、あちこちに寿命の尽きた杉が倒れている。しかしそこに見えるのは死の世界ではない。切り株や倒木の上から新たに若杉が芽を出しているのである。この若杉も、やがては巨木に成長する。切り株更新、倒木更新と呼ばれる森の新陳代謝が目の前で展開されている。そして、その幹は、例外なくコケの絨毯をまとっている。

縄文杉に向かう人は毎日かなりの数であるのだが、歩いていて気づくと前にも後ろも人がおらず、この深い森の中で一人きりになる瞬間がある。時間にすれば、ほんの十数分だが、日光が地上まで届かないほど密度の濃い森にあると、島民が、計り知れない森の深さに畏怖の念を抱くその気持ちが分かる気がする。島の民話には木の精、山姫が恐ろしい存在としてよく登場する。歩いても歩いても上下左右、杉の巨木に囲まれていれば、山姫に出会ったしても不思議には思わないだろう。
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さらに歩を進めていくと、岩肌にくりぬかれたかのように人工的な穴があいているのに気づく。防空壕である。ちょうど、防空壕の前にグループがガイドによる説明を受けていた。誰もいなければ、おそらく気にも留めず、通り過ぎてしまっただろう。

ガイドの説明によると、屋久島も戦争の歴史と無縁ではなく、終戦間際の1945年3月以降は集中的な空襲に見舞われているとのことである。この空襲の結果、多くの人家が消失し、多くの死者が出ている。この防空壕はその空襲を避けるために掘られたものである。集落から遠く離れた山の中に防空壕が掘られていることは空襲に対する島の人々の恐怖を今に伝えている。戦争中は疎開のため多くの島民が島から去って行った。戦後になると復員、引き揚げなどの要因もあり、屋久島の人口は急激に増加し、そのため、食糧難に苦しむという時代を迎えたという。説明をただ聞きして、さらに歩を進める。

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縄文杉を目指すこのトレッキングで、最初に出会う巨木は三代杉である。ここの標高はおよそ740メートル。一本に見えるこの巨木は、その名の通り三代目にあたり、初代の倒木から成長した二代目の切り株に根ざしている。初代の杉の樹齢は推定1,200年。倒木となり、現在は中が空洞になった初代の杉の上に育った二代目は樹齢1,000年に至ったとき伐採された。今から350年ほど前のことである。
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by iyasaca | 2007-10-20 15:26 | 鹿児島 | Comments(0)
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知ることで景色が変わる。誰にも頼まれてないですが、あちこちにいってきます。
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