勝手に僻地散歩



強首温泉 樅峰苑にいってみた その2

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1914年に強首一帯を襲った大地震で倒壊した小山田氏の邸宅を再建するにあたり、建築を任された宮大工の井上喜代松は、京都で改めて地震に強い建築を学ぶ機会が与えられた。1年にわたる遊学より戻った井上は、小山田邸の築造に着手する。強首樅峰苑(こわくび・しょうほうえん)と名付けられる2階建ての大邸宅は、1917年(大正6)に完成した。

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<写真:屋根の様式の類型>
外観で特徴的なのは、最上部に千鳥破風(屋根の斜面が交差している様式)、中上部が入母屋造り(屋根の斜面が軒先まで伸びている様式)、下部は丸みを帯びた唐(ムクリ)破風とした屋根の造りである。建材にも妥協はなく、所有地から最良のものを用いている。また2階部分は地面で組み上げたものを一度解体した上で、1階部分完成後に再度2階で組み立てるという「地組み」という誤差を最小限に留める工法が用いられている。さらには屋根裏にまでつながる太い柱、梁と柱を結ぶ木組みの筋交いを入れるなど、当時の最先端の耐震構造も取り入れられた。

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<写真:秋田杉の古材を用いた廊下、継ぎ目がない>
玄関口の廊下は、全長16.3メートル。樹齢400年を越えるとされた一枚通しの秋田杉が用いられている。鉋(かんな)がけも宮大工の手によって行われた。ここにも施主であった第12代小山田治右衛門のこだわりを感じる。

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建物の意匠はあらゆるところに散らばっている。鹿鳴館風とも言われた二階への階段、階段スペースの折上格天井、鉄刀木(たがやさん)を使った1階奥の間の床柱、金欄菱欄構えを施した2階達磨の間、そして襖を取り払うと40畳にもなる1階大広間、そして玄関横に立てかけられた人力車などである。

建材の一つ一つを丁寧に選び、工法にこだわりぬいた強首樅峰苑(旧小山田家住宅)は、造形の規範となっていると認められ、1999年10月、登録有形文化財に登録されている。
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by iyasaca | 2015-02-28 00:00 | 秋田 | Comments(0)
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知ることで景色が変わる。誰にも頼まれてないですが、あちこちにいってきます。
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