勝手に僻地散歩



甲午

本年の干支は甲午(きのえ・うま)である。

甲とは、草木の芽が、冬の間かぶっていた固い殻を破って頭を少し出した様子を表した象形文字である。転じて、「はじめ」、「はじまる」との意味がある。ただし新しいものの中には、あっという間に、その新鮮さを失い、堕落し、勢いを失ってしまうものもある。このことから、甲は狎(な)れにも通ずる。新しいものが定着するに値するものであるか、その萌芽をよくよく見極めなければならないということである。

午とは、上の字画は地表、下の字画にある十は、下から陰が陽を押しのけて上に上昇する象形である。説文解字に「午は忤なり」とある通り、反対勢力の突き上げを示していることから、転じて「そむく」、「さからう」との意もある。また午には「たづな」に結び、馬を御する索(つな)の意があるとの解説もある。

従って甲午とは、旧くからのシステム、考え方とは異なる新たな勢力が革新の動きを始め、体制の突き上げを図る年である。新たな動きは、旧体制を破りかねないものであり、その是非をめぐって大いに紛糾するため、指導者が、暴れ馬を御するがごとく、大いに手腕を振るうべき時とも読める。

この前の甲午は1954年である。この年は公職追放を解かれて政界復帰した鳩山一郎が、吉田茂率いる自由党内の不満分子や野党勢力を糾合し、日本民主党を結成した年である。また1953年の選挙で199議席(466議席中)を獲得し第一党となった吉田茂率いる自由党は、内紛により吉田が総裁職を緒方に禅譲、この動きが翌年の保守合同へつながっていった年であった。まさに吉田体制を破り、新しい55年体制へ向かう端境期であったのである。

さて翻って現在の状況を見てみれば、日本を取り巻く情勢は、おそらく戦後最も緊迫したフェーズに入ったと言えるだろう。中国は勢力圏の拡大を企図した境界での動きを継続し、韓国も伝統的にそうであったように、周辺情勢に引きずられるような動きを見せるであろう。そのような中で日本の国内世論に大きな変化が起きている。

戦後一貫して大手マスコミが寄り添ってきた戦後民主主義的な論調とネットが増幅する国民感情の乖離にその萌芽が見える。この状況に二分された両勢力は、仲間を国内だけにとどまらず、海外にも求めていくであろう。自らの意見の正当性を訴えるに、アメリカはこう言っている、中国、韓国もこう言っているという形での意見の応酬がより一層顕著になることだろう。

旧体制を破る革新の歩が定着するのか、そうでないのか、その動きを暴力を介さずに進めることができるのかどうか、指導者たちの手綱さばきにかかっている。皆様にとって良いお年となりますように。
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by iyasaca | 2014-01-03 13:25 | 新年のご挨拶 | Comments(0)
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